(2024/09/29追記)
母の田舎だと陸上自衛隊のトラックが国道をよく走っていまして、トラックのうしろに乗っている自衛隊のお兄さん達に手を振ると、手を振り返してくれました。
今思うとおそらく訓練が終わったあとで、疲れていたはずなのに彼らは笑顔で爽やかでかっこよくて素敵で憧れの存在でした。
母が手を振っていた頃の自衛隊のお兄さんたちは、きっと今ごろは立派なおじさんになっているのだろうと思います。
娘のキキの生活の範囲には自衛隊のトラックは走りません。
かわりに多くの観光バスが走っています。
それは修学旅行かしら?と思える観光バスから、京都の主要観光地をまわる観光バスまで。
観光バスは路線バスと違ってバス下部に荷物を置く場所があって座る位置も高いですね。
座っている位置が高い。
観光バスに乗っているお客さんは、たいてい外を見ています。
私たちは、外の景色の中からバスを見ています。
私たちは、バスに向かって手を振ります。
身体の小さなキキだけでなく、身体の大きな母だって大きく手を振ります。
バスの中の人たちの、私たちに気づいてくれた人が手を振ってくれます。
(もちろん気付かれない場合が多々ですが、それは単に母のアピールが足りなかったというだけ…)
同じ近くの空間にいながら、私たちはきっと出会うこともなかったかもしれません。
でも、手を振りあったことで、彼らと私たちの点は線になります。
彼らにとっては私たちは記憶にも残らないそこを歩くただの親子です。
でも、キキにとっては手を振ってくれた特別な人。
別に話すことも関わりももたないし、顔もあまり見えなくてはっきりと覚えることはできないけれど。
知らない街ゆく人に声をかけることは、大人であってもハードルは高いです。
キキも知らない人に話しかけることはできない内気な子です。
母も知らない人に話しかけることは得意ではありません。(なんなら、苦手です。)
そういうハードルを少しでも下げるために、少しずつバイバイからはじめました。
それは、その先の外国の人との会話やインタビューにつながります。
観光バスに乗る景色を楽しんでいる人に存在を気づいてもらうには、胸の前で小さく手を振ったくらいじゃ気づいてももらえません。
おーい!ここだよー!と大きくバイバイする必要があります。
そういうことが得意な性格大きな動きで誰かに気づいてもらうためには、それなりに自分に自信がないとできません。
その自信は、多くの背景があってこそ。
自衛隊のお兄さん達が、子どもだった頃の母に嬉しい!をくれたみたいに、キキにも観光バスの人から他者との繋がりが楽しいことだと感じてほしいのです。