近くのホステルで開催された絵本講座に参加しました。
きんだあらんど・絵本講座 「今、考えたい、人権を描いた絵本」 -人権って何?-
未就学児には少し難しいテーマかなと思ったけれど、大人にも子どもにも良い選書で、90分の時間があっという間でした。
その中から特に印象深かった絵本を記録を兼ねてご紹介するよ。
おひさまとおつきさまのけんか
ねないこだれだでお馴染みのせなけいこさんの本です。
おひさまとおつきさまが喧嘩するんです。
そしたらどうなると思います?
私たちは些細なことで誰かとトラぶります。
そんな小さなことがもしかしたら戦争の始まりなのかもしれない。
視点を変えてみるだけで、広がる絵本の世界。
おおきなかぶ
トルストイの書いた有名すぎる1冊。
トルストイはロシア文学を代表する作家で、貴族として生まれました。
戦争のあった時代の人で何度も行っています。
トルストイは教育にも熱心な人でした。
おおきなかぶの前の話には鶏の卵ほどの穀物がありました。
鶏の卵ほどの穀物を読んでから、おおきなかぶを読むと理解が深まります。
絵を描いた佐藤忠良氏は、シベリアに拘留されたこともある人で彫刻家で有名な方。
当時拘留されていた人は帰国後に口を閉ざしている人が多かったそうで、それだけ過酷な思い出したくない日々。
そんな佐藤忠良氏に、ロシア文学の絵を描くよう話がいくわけです。
佐藤忠良氏のおおきなかぶでは、おじいさんの絶望が描かれています。
わかりますか?
恋ちゃんのはじめての看取り
この本は、恋ちゃんのおおばあちゃんが亡くなったところを写真で綴られた絵本です。
亡くなったおおばあちゃんが、そのまま出版されています。
先日、キキはおじいちゃんを亡くしました。
母
この2年で親戚の葬式が4回あり、1回はコロナで葬儀にも向かえなくて、3回キキは遺骨を拾いました。
「死」とはどういうことか?
「死」とはどうなることか?
小さな子だから、骨を拾う行為はさせない方が良い?
まだ5歳や6歳の経験としては十分だと思います。
でも元気だった頃にたくさん遊んだ人だからこそ、最後はどうなるのか?知っておくことも必要だと思うのです。
あしなが
あしながと呼ばれるその犬は、スタイルも良く大きなお屋敷に住み、良質なものを食べて暮らしているとノラ犬達は思っていた。
ある日、噂がたった。
あしながが、子犬をさらって行ったと。
また別の日にはあしながが子犬を食べていると。
ノラ犬がゴミを漁っているとあしなががバカにしたように見ていたと。
ノラ犬達は腹がたった。
ノラ犬のケンは偶然あしながもノラ犬だと知る。
捨てられた子犬はあしながが世話をしていた。
あしながは仲間がいなくて寂しかった。
ケンに声をかけてもらって嬉しかったから、ご馳走のあるゴミ捨て場を教えた。
ケンが他のノラ犬たちにありのままを伝える。
全ては誤解だった。
ろくに確認もせずに誰かを排他することだけで安心し、大多数とは違う言動をとることにためらう時がある、私たち人間関係と同じ気がするよね。
母
ぼくたちのコンニャク先生
子どもの頃の脳性麻痺で肢体不自由になった先生と子どもたちの毎日を綴った写真絵本。
先生は一緒に走れないけど、足の指で折り紙やハサミも使う。
明るくてオープンな障害者の先生の話。
障害者を見なかったことにしてしまったり、どう接して良いかがわからなかったりもしてしまいがち。
そんな中で、娘の幼稚園の先生が障害者の方だったらどうだろう?
いろんな人がいて、これが得意とか、これが苦手とか認め合う中で成長するのは、他人を認めるということに繋がりそう。
こびととくつや
クリスマスも近いしーと最後に読んでくださった本。
裸のこびとの2人が靴屋を手伝って靴屋は裸の2人に服や靴をプレゼントする話。
カトリーン・ブラント氏の絵が素敵でかっこく、藤本朝巳(ともみ)氏の和訳が力強くて子気味良い。
靴屋の靴は倍倍ゲームのように売れていく。
感謝する靴屋の夫婦。
母
正直者の靴屋なのに暮らしはしんどかった。
最後の靴1足分の皮を切り取り明日の用意をするところから始まる物語。
昔に作られた話なのに、真面目に暮らしているだけじゃ報われない現代の日本みたい。
靴屋夫婦は感謝して、即座に行動に移し、よく寝た。
これ、どれもできていないから、私も真似しなきゃ。
カトリーン・ブラントの絵が良くて、藤本朝巳の絵が良かったから。
探しました。
母
kiki
韓国の方で日本の大学に入って日本の出版社で働いてるお姉さんが言っていた「売れないけど必要な本がある」って深いよねー。
2014年のセウォル号沈没事故は、私たち日本人が修学旅行に京都や沖縄に行くーみたいな位置のイベントで、国の多くの人が経験する船の事故だったから、韓国の人はみんなが暗い気持ちになりましたって言っていたのも印象的だったよ。
母
終わりに
こちら、母の主観の塊の感想です。
絵本は読んだ人の数だけ感想があって当たり前だと教わって、そのとおりだと考えています。
文字そのままの受け止め方、経験によっての受け取り方、解説を受けての感想は違います。
子どもが育っても、歳を重ねても、大人が1人でも楽しめる本に、多くではなくていいから出会いたいです。
絵本講座、最近はオンラインばかりでした。
ちょっとしばらくは絵本講座はいらないかなとも思っていた時でしたので、とても良い機会でした。
それはまた、どこかで縁があれば、その時にでも。
母